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2013年 03月 23日
しばらく本と音楽の記事が続いたので、今回は軽〜くデザインのを。
僕の本業はこっちなんですけど、他人のデザインを「記事にする」=「批評する」 ということだから、なかなか手をつけにくい。 というのも、自分もその担い手だから。しかもまだ駆け出しだから。ま、いいか。 写真の通り(iPhoneのカメラが性能よすぎて参ります。)、奈良で開催されていた 田中一光氏の展覧会に行ってきました。別件撮影の前に朝一で行ってきました。 [展覧会イントロ] .................................................................................................... 回顧展を奈良県立美術館で開催いたします。 1930年に奈良の旧市内に生まれた田中一光は、幼少の頃より興福寺や東大寺、そして春日大社 といった歴史・文化的に豊かな環境で感性を培ってきました。東西美術のさまざまな美的要素を 取り入れ、デザインの一時代の築いた田中一光のルーツを探ります。 本展では、多くの作品の中から造形的な側面にスポットを当て、版画・グラフィックアートなど 約350点を展示。 併せて、没後に現代グラフィックアートセンターやご遺族に保管されていた、未発表のデッサン、 ドローイング、油彩画などを初公開します。 40年以上にわたって日本のデザイン界をリードしたアーティストの世界を体感する絶好の 機会となるでしょう。 (ポートレイト:田中一光 氏) .................................................................................................... とっても大物です。 イントロでもあるように、彼の代表的なポスター作品以上に、個人制作に焦点を 当てた展覧会となっており、学生の頃のデッサンや油絵などの展示もありました。 おもしろかったのは、個人制作のシルクスクリーンです。 「赤と緑」という作品。これは初めて見ました。 こんな感じの作品の展示の数が膨大で、160もありました。 上のものは図と地、色と色の実験作品ですね。具体的に何を表しているか、とか そんなん気にしなくて良いです。それは見る側が勝手に想像してそれが正解です。 対照的に、デザインの作品はそうはいかない。 代表的な作品です。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にて 日本の能、舞踊、狂言などが紹介された時のポスターです。(1981) デザインが明快でキャッチ—です。とってもいいですね。 作品画像はこれまでにしておきます。気になる人は画像検索すれば 山ほど出てきますのでそちらで。 展示の中にはグラフィックアート作品からそのままデザインに 流用しているものもたくさん見受けられました。 そのあたり、うまく楽しんでやってるんだろうなあ、という想像をしていましたが、 意外とデザインに対して悲観的な態度をとっていることがわかりました。 展示のキャプション中にあった彼の発言: .................................................................................................... 「グラフィックアートの制作は、デザインで汚染された私の頭の中を真っ白に してくれる。デザインは目的や機能が全面に押し出されているので、自分なりの 解決という意味では常に客観的であり、それが自分の本質の隠れ蓑になってくれる のだが、絵画や版画を描く場合そうはいかない。」 「素裸を他人に見られているようで、耐えがたい羞恥心に襲われる。(略)この裸の 苦痛というか、定期的な造形健康診断にかからないと、自分自身ますます虚弱な体質に なるのではないかという恐れも抱くので、私はグラフィックアートを 描き続けていたのである」 「要するに自己完結したい、ただそれだけのことかもしれない。」 .................................................................................................... うんうん、なるほど、デトックスってことなんですね。 精神の浄化をグラフィックアートで行っている。ふむふむ。 そしてさらに、図録(かなり評判の悪い図録ですが、僕は好きですよコレ。)の中で ものすごく共感できる一節がありました。 .................................................................................................... 「デザインとは本来そういうものなのだが、それが完成して 任務を果たしたと思う安堵と同時に、得体の知れない虚しさに襲われる。 自分の人生だって短いのだと思うと、急にそうした他人の世界の虜になった関係から 脱出したいという焦燥にとりつかれる。だから自分のアート・ディレクトした仕事の オープニングや、出版などのパーティーに出席するのは好きではない。早く会場を 飛び出して一人になりたいと思う。仕込みのときの熱っぽい興奮は一瞬にして消えて、 嫉妬と悲哀の入り交じったもう1人との会話が始まるのである。」 .................................................................................................... 我が意を得たり!です。 こういう気持ち、デザイナーなら全員が持ってるんだろうなと思う反面、 デザイナーとしての能力や実績がないと、さらにその上をいく虚しさを 感じるんだろうな。 いや、ちがう、そういう人間は虚しさにすら気づかないのか。 「自己完結」はデザインではしてはいけないんです。 デザインの自己完結にもいろいろ種類はあると思いますが、それは割愛で。 なにはともあれ、まずはデザイナーとしての成功が大前提なわけです。 精進していきます、一光先生! ***************************************************************************************************
by ikucinema
| 2013-03-23 11:58
| グラフィックデザイン
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